心臓リハビリが必要な理由

そもそもリハビリって??

骨折後や脳梗塞後、また術後にしばらく寝ていて筋力が落ちたからリハビリを。というのはみなさんがよく知るリハビリだと思います。

テレビでもよくリハビリという言葉が使われるようになってきましたが、そもそもリハビリテーションとは何なのでしょうか。

リハビリテーションというと怪我をした時や病気の回復後に行うものという印象が強いですが、広義のリハビリテーションとは、ラテン語のre(再び)-habilis(適した)に由来し、何らかの理由で能力低下、機能低下した状態から再び適合させるように働きかける事全般を指しています。

リハビリテーションとは、医学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ、かつ相互に調整して、訓練あるいは再訓練することによって、障害者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめること。

世界保健機関(WHO) 1968年

 

リハビリテーションとは、医療保険・介護保険でのサービスのひとつであると共に、技術であり、ひとつの思想でもあります。また、リハビリテーションとは、医学、教育、職業及び社会など、極めて多角的なアプローチを必要としています。さらにリハビリテーションとは、なによりも人権の問題であり、本来人権を持たない障害者に国や社会が恩恵・慈悲として人権を付与するものではありません。人が生れながらにしてもっている人権が、本人の障害と社会制度や慣習・偏見などによって失われた状態から、本来のあるべき姿に回復させるのがリハビリテーションです。

地域リハビリテーション支援活動マニュアル 1999年

つまりリハビリテーションは、筋力をつけたり、関節が動く範囲を広げたり、歩けように訓練をするだけのものではなく、もっと広い意味を持つもので

「人間らしく生きる権利の回復」「自分らしく生きる」ことを意識することが重要で、そのために行われるすべての活動がリハビリテーションなのです。

「病気になってできなくなってしまったけど、また動けるようになりたい」

「また旅行に出かけたい」

「大好きな自分の家で家族と過ごしたい」

などの希望に対して、どうすればそれができるようになるのか患者さんと一緒に考え、それを実現するために訓練をしたり、補助具を使ったり、住宅改修をしたり、サービスを使ったりしていくわけですが、その過程全てがリハビリテーションと言えます。

病気になった後もより良い人生を送れるために行っていくものがリハビリテーションです。

心臓病に関して言えば、心臓リハビリテーションは心臓病になった後でも快適で質の良い生活に戻れるようにするために行われる総合的なプログラムです。

心臓病は、治療(カテーテル治療、バイパス術、点滴など)も当然重要ですが、お薬を忘れず毎日飲む事や、飲み合わせへの注意、食生活の変更、生活習慣の是正、運動習慣の獲得、禁煙などなど大切なことがたくさんあります。

だからこそ医師だけでなく、心臓リハビリテーションの実現には多くの専門職の力が必要になります。

心臓リハビリテーションの定義

心臓リハビリテーションとは、心疾患患者の身体的・心理的・社会的・職業的状態を改善し、基礎にある動脈硬化や心不全の病態の進行を抑制あるいは軽減し、再発・再入院・死亡を減少させ、快適で活動的な生活を実現することをめざして、個々の患者の「医学的評価・運動処方に基づく運動療法・冠危険因子是正・患者教育およびカウンセリング・最適薬物治療」を多職種チームが協調して実践する長期にわたる長期的・包括的プログラムをさします。

日本心臓リハビリテーション学会ステートメント

「歩けるからリハビリは必要ない」

答えは当然NOです。

上記のリハビリテーションについての説明からもお分かり頂けると思いますが、

リハビリは歩けるようになるためだけに行うものではありません。

心臓病の患者さんは比較的歩ける状態の方が多いので、「リハビリが始まります」と初回の説明を行なった時にも、「もう歩けているから大丈夫」「心臓に何のリハビリをするんだろう」「自分でできるからいらない」や「よくわからないけどまぁやります」・・・と思われてしまうことが(私見ですが)多いようです。

心臓病にリハビリが必要なことを一から細かく説明して理解してもらった方がスムーズにリハビリが進むし、退院後もリハビリを継続してもらうための動機付けにもなる気がします。

ですが例えば

・高齢で難聴がある。

・いくつも病気を抱えていてリハビリしてまで長生きしようとは思わないという考えを持っている。

・少々頑固な性格。

・経済的に余裕がなく長く入院している暇がない。

・自分なりのやり方、考え方が正しいと自信を持っている。

(あくまで例えばの話です)

方々の場合、急性期の治療まではうまくいっても、その後症状がとれてしまえばリハビリを受けようという気にはならないかもしれません。

そのような状態で「心臓リハビリが必要です」、と説明しても、逆に反発されてしまうこともあるかもしれません。

目標を立てる

心臓リハビリを提供する時に、初回に何と患者さんに声をかけるべきでしょうか。

医師、理学療法士、看護師などから心臓リハビリが始まることの説明があると思いますが、担当者によっても説明の内容はもちろん違いますし、患者さんのキャラクターや理解度によっても説明の内容は違ってきます。

一人の患者さんには担当する医師、看護師、理学療法士、薬剤士、管理栄養士などの専門職がついています。

専門職ごとに説明が違っていては、患者さんは混乱しますが、不信感を抱いてしまい、リハビリ進行の阻害因子となってしまうかもしれません。

そうならないためにも、患者さんの今後の目標・NEED(希望)はしっかりチームで把握しておく必要があると思います。

農業をしていて、退院後も続けていきたい。

と患者さんが言っていたとします。

そのことを知った状態で患者さんと話すのと、知らない状態で話す場合では大きな差が出ますよね。

農業は内容にもよりますが、血圧・脈拍をあげる(心負荷がかかる)動作ですし、開胸術後であれば運転がしばらくできずトラクターの操作も控えたほうがよいですし、季節によっては脱水に注意が必要になる。

農業と一口に言っても、指示を出すくらいですむのか、ハウスの高温の中で作業するのか、胸骨に負担がかかるような動作が入るのか、農地は広いのか、など確認することはたくさんあります。

目標をチームで統一していれば、指導内容も近いものになってくると思います。(経験上)

そのためには各専門職が心臓リハビリテーションについての知識をもっておくことはもちろんのこと、他職種のことも理解するように努力しなければなりません。

・私はあの方に農業は勧めることはできないと思う。

・しかしそれでは生活していけなくなってしまう。ではどうする?

などのディスカッションを通して、退院後の生活をどうしていくのが一番良いのか医療者だけでなく患者さんも含めて考えていくことが、理想だと私は思います。

 

最後に

患者さんに一番伝わりやすい心臓リハビリテーションについての説明とはなんなのでしょうか。答えは出ないままです。ケースバイケースではありますが、患者さん毎にベストな説明ができるよう、選択肢はいくつか持っていたほうがよさそうですね。

 

 

 

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