冠動脈

冠動脈とは

心臓は全身に血液を供給していますが、心臓自身にも血液が必要であり、心臓を栄養する血管を冠動脈といいます。

冠動脈は約4mmほどの細い血管で、右冠動脈(RCA:Right coronary artery)左冠動脈(LCA:Left coronary artery)の2本からなり、大動脈の根本部分から分枝しています。

左右の冠動脈は大動脈の根本の膨らんだ部分から出ているのですが、その膨らんだ場所をバルサルバ洞といい、そこに左右の冠動脈がつなっています。

右冠動脈は右バルサルバ洞、左冠動脈は左バルサルバ洞から分枝したのち心外膜面を走行し分枝しながら心筋内に入り込んでいきます。

左冠動脈は短い左主幹部をへて左前下行枝左回旋枝の2本の大きい枝に分枝します。

すなわち心臓は右冠動脈、左前下行枝、左回旋枝の3本の大きい枝で灌流されていることになります。

右冠動脈

右冠動脈(Right coronary artery)から分岐している動脈の名称

・SN(SA nodal branch) :洞結節枝

・CB(conus branch):円錐枝

・RVB(right ventricular branch):前右室枝

・AM(acute marginal branch):鋭角(縁)枝

・AV(atrioventricular node branch):房室結節枝

・4AV:4区画房室枝 (#4のうち房室結節枝があるものを4AVとよぶ)

・4PD(posterior descending):後下行枝

左冠動脈

左冠動脈から分枝している動脈

左冠動脈は左主幹部(LMT:Left main trunk)をへて左前下行枝と左回旋枝の2本の大きい枝に分枝します。

左前下行枝(LAD:Left anterior descending coronary)

・D1(first diagonal branch):第一対角枝

・D2(second diagonal branch):第二対角枝

・1stSEP(first septal branch):第一中隔枝

左回旋枝(LCX:Left circumflex coronary artery)

・OM(obtuse marginal branch):鈍角(縁)枝

・PL(posterolateral branch):後側壁枝

冠動脈の番号 AHA分類

米国心臓学会 (AHA)は冠動脈の病変部位や狭窄を示すため冠動脈を1〜15の枝に分類しています。心筋梗塞で閉塞した血管やカテーテルで治療した血管がどれなのかを把握する上で非常に大切なので、覚えておく必要があります。

#1〜4が右冠動脈、#5が主幹部、#6〜10が前下行枝、#11〜15が回旋枝です。

#1 右冠動脈(RCA)近位部。RCAの根本から前右室枝(RVB)まで。

#2 RCA中間部。RVBから鋭角枝(AM)まで。

#3 RCA遠位部。AMから後下行枝(PD)まで。

#4AV  房室結節枝(AVN)をさす。

#4PD 後下行枝(PD)をさす。

#5 左冠動脈主幹部(LMT)

#6 左前下行枝(LAD)近位部。主幹部から中隔枝(SEP)まで。

#7 LAD中間部。SEPから第二対角枝(D2)まで。

#8 LAD遠位部。D2からLAD末梢まで。

#9 第一対角枝(D1)をさす。

#10 D2をさす。

#11 左回旋枝(LCX)近位部。主幹部から鈍角枝(OM)まで。

#12 OMをさす。

#13 LCX遠位部。 OMから後側壁枝(PL)まで。

#14 PLをさす。

#15 PDをさす。

※PDは通常はRCAから分岐することが多いが、LCXから分岐する人もいるため#4と#15にPDがあります。PDが右冠動脈から分岐している症例が90%くらいで、残りの10%は左回旋枝から分岐しています。

※房室結節は洞結節からの刺激を心室に伝える場所であり、この房室結節を栄養しているのが房室結節枝です。なので、この血流が途絶えると房室ブロックを生じることになります。右冠動脈閉塞のときに完全房室ブロックによるアダムス・ストークス症候が多いのはこのためです。

冠動脈の灌流域

右冠動脈の灌流域(栄養している場所)

→右心室と左心室下壁、下部心室中隔、右心房、洞結節、房室結節

左冠動脈の灌流域

→左前下行枝:心室中隔の右室前壁、心室中隔の前2/3、左室前壁、心尖部

→左回旋枝:左房、左室の側壁、後下壁の一部

冠動脈と血液供給領域

冠動脈の各部位が栄養している部位をしめします。

RCA

円錐枝(CB):肺動脈円錐部

洞房結節枝(SN):洞房結節

右室枝(RV):右室

鋭角枝(AM):右室

4AV:房室結節

4PD:左室後壁〜下壁、心室中隔1/3

LAD

第1対角枝(D1):左室前壁〜側壁

第2対角枝(D2)

中隔枝(SB):心室中隔2/3

LCX

鈍縁枝(OM):左室側壁〜後壁

後側壁枝(PL):左室側壁〜後壁

後下行枝(PD)

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