冠循環

冠循環の調節

冠動脈の血流量は心拍出量の約5%といわれています。

75〜80ml/100g/min (100g心筋重量あたり1分間に75〜80mlが流れている)

冠動脈に送られる血液は1分間に250mlほどで、心拍出量の5%程度ですが心臓が消費する酸素量は全身の11%にもなります。

心筋の動脈血からの酸素摂取率は70〜80%と安静時でも最大に近く(腎・肝・脳では10%)、心筋酸素消費や代謝の変化に伴うだけの酸素、栄養素の供給が必要となります。

激しい運動などで心拍出量が増加したときは、冠血流量は最大5〜6倍にも達し、それをカバーしています。酸素摂取率も90%近くに達します。心筋の酸素需要をみたすにはそれだけ血流を増加させる必要があります。

心筋エネルギー需要は大部分が冠血流による酸素供給に依存しているため、冠血流減少は直ちに深刻な影響をもたらします。

ちなみに他臓器の動脈血流は大動脈圧が上昇する収縮期に流れるのに対して、冠動脈は収縮期に圧力を受けるため収縮期に十分な灌流を得られず、主として拡張期に血液が流入するという特徴があります。

冠血流量の調節

冠動脈は心筋の酸素需要に対応するために、心筋全体あるいは局所の冠血流量を変化させています。

冠血流量を規定している因子として以下の項目があげられます。

・冠動脈の灌流圧

大動脈圧の上昇や静脈圧の低下があると灌流圧は上昇し、冠血流量は増加する。大動脈圧が上昇すれば冠血流量は増加しそうであるが、正常心では心筋エネルギー需要が一定に維持されており、大動脈圧がおよそ60から160mmHgの範囲であれば冠血流量はほぼ一定に保たれる。これを冠循環の自動調節という。

・心拍数

左室心筋への血流は拡張期に多く流れるため、拡張期が長くなる徐脈では冠血流量は増加し、拡張期が短くなる頻脈においても心拍出量の上昇に伴って冠血流量は増加することが多い。

・冠血管抵抗

冠血管抵抗の上昇は冠血流量を減少させる。心室筋の壁張力が増加すると心筋内の血管が圧迫されるため冠血管抵抗は上昇する。貧血などでは血液粘性が低下するため冠血管抵抗は低下して冠血流量は増加する。冠動脈の狭窄が強くなると冠血管抵抗は上昇し、その血管の灌流域では血流量が減少する。

・自律神経

交感神経活動が亢進するとα受容体からの刺激から冠動脈が収縮し冠血流量は減少する。一方β受容体の刺激は心拍数や心筋収縮力の増加をきたし、心筋酸素消費量の増大とともに冠血流量を増加する。副交感神経活動の亢進により直接的な冠動脈拡張作用は弱いが、心拍数の減少などによって冠血流量に影響を及ぼす。冠血管には豊富に神経が分布しており冠血流の調節、冠攣縮の発生への関与における神経性調節が存在する。

・生理活性物質

心筋の代謝が亢進すると、あるいは心筋に虚血が生じると局所で産生される一酸化窒素、プロスタグランジンI2、アデノシンなどの生理活性物質の働きによって冠動脈が拡張し冠血流量は増加する。

この他にも冠血流調節にはさまざまなメカニズムが存在し、複雑、多岐にわたっています。

これらが協調しながら冠血流維持のために働いています。

 

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