狭心症
狭心症とは
虚血性心疾患の中の一つ、狭心症についてもう少し詳しく見ていこうと思います。
狭心症とは心筋が一過性に虚血に陥るために、胸痛が起こる病気です。発作時は前胸部に限らずのど、あご、肩などに締め付けられるような痛みや胃の不快感、息切れといった症状が出現します。
虚血性心疾患は心筋酸素需要と酸素供給量のバランスが崩れて生じる疾患であり、狭心症では一過性に心筋が虚血に陥った状態となり、酸素不足となります。絶対的に酸素供給が長時間途絶えると心筋梗塞となります。
痛みの持続時間は数分から10分くらいでニトログリセリンなどの舌下錠で発作がおさまります。ニトログリセリンがきかず、15分以上症状が続く場合は心筋梗塞の疑いがあります。
狭心症の分類
狭心症は症状の特徴により以下の4つに分けられます。
①安定労作狭心症
②不安定狭心症
③無症候性心筋虚血
④冠攣縮性狭心症
安定労作狭心症
動脈硬化による冠動脈の狭窄病変のため労作時の心筋酸素需要増加に冠血流量がおいつかず、一過性の虚血状態となり胸痛を生じます。
症状:歩行や階段昇降などの労作時の胸痛、前胸部圧迫感(安静にて軽快)
検査・診断:運動負荷心電図(トレッドミル検査)、心エコー検査、心臓核医学検査(心筋シンチグラム)
治療:薬物治療(抗血小板薬、硝酸薬、β遮断薬など)
薬物治療でも症状改善しない場合は血行再建を検討する。(経皮的冠動脈形成術、冠動脈ステント留置術)
不安定狭心症
狭心症発作が次第に頻回におきるようになり安静時にも起きるようになってきたときは不安定狭心症といい、急性冠症候群ともいいます。
心筋梗塞の前触れとして注意が必要です。
症状:安静時の胸痛
診断:20分以上症状が持続する、冠動脈疾患の既往歴、75歳以上、複数の冠危険因子、48時間以内んに症状の増悪、明らかな心不全所見、心電図のST変化、心筋障害マーカーの上昇などが認められれば不安定狭心症の可能性が高いです。
直ちに入院、ベッド上安静とし、治療を行います。
治療:薬物治療(硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗血小板薬)
酸素投与
などで病態を安定させながら、速やかに冠動脈造影、血行再建を行います。
無症候性心筋虚血
症状がないにもかかわらず心筋虚血の所見のあるものを総称して無症候性心筋虚血といいます。
・虚血の程度や範囲が小さく痛覚閾値に達していない
・心臓自体の痛覚伝導路の機能障害がある
・加齢、糖尿病により痛覚閾値が上昇
している場合に認められます。
診断:ホルター心電図を用いて日常活動での虚血所見であるST低下、冠動脈造影検査により診断されます。
治療:薬物治療、血行再建
冠攣縮性狭心症
冠動脈が一時的に痙攣して、血液の流れが悪くなった結果起こる狭心症を異型狭心症といいます。日本人に多く、狭心症の約6割がこの異型狭心症に関連していると言われています。
血管がコレステロールの蓄積で狭くなって起こる狭心症とは異なり、血管が痙攣、攣縮して起こるものなので、早朝や急激に身体が冷えた時、お酒を飲んだ時などに起こることが多いとされています。早朝の運動や不眠も発作を誘発してしまうこともあります。
また男性に起こりやすく喫煙が危険因子となっていることがわかっているので、早期に禁煙する必要があります。