房室ブロック

房室ブロックとは

PQ間隔が延長することで生じる不整脈に房室ブロックがあります。

 

正常な心臓では心房の洞結節から出た電気刺激は、房室伝導系(房室結節、ヒス束、右脚、左脚、プルキンエ線維)という伝導によって心室に伝わります。

 

房室ブロックは房室伝導の障害によって心房の興奮が心室に伝わるのに時間がかかるか、または伝導されない状態をいいます。

 

房室結節とヒス束を合わせて房室接合部といいますが、ここはダムのようなもので興奮をためて心室へ流すのを遅らせたりしています。

 

房室ブッロクはおもに房室結節、ヒス束での伝導障害が原因となって生じる現象です。

 

房室伝導をチェックする場合は、まずP波の後ろにQRS波があるかどうかを確認します。

 

P波の後ろにQRS波がなければ心房の興奮が心室に伝わっていないということになります。

 

つぎにPQ間隔をチェックします。

 

P波のはじまりからQRS波のはじまりまでの間隔をみて、各心拍でその間隔が一定かどうかを計測します。

 

短縮している場合は房室接合部の伝導速度が速すぎるか、ヒス束以外に伝導路がある場合(副伝導路)にみられます。

 

延長している場合は房室接合部の伝導速度が遅いため房室伝導に時間がかかっていることを示しています。

房室ブロックの分類

房室伝導の障害の程度によって1度から3度の房室ブロックに分類されます。

第Ⅰ度房室ブロック、第Ⅱ度房室ブロックを不完全房室ブロック、第Ⅲ度房室ブロックを完全房室ブロックと表現することもあります。

画像引用:ナースプレス https://nursepress.jp/215693

第Ⅰ度房室ブロック

PQ時間(またはPR時間)が0.21秒以上に延長するがP波の後ろには必ずQRS波がある状態。

房室伝導の不完全な障害を示します。

画像引用:ナースプレス https://nursepress.jp/215693

 

第Ⅱ度房室ブロック

第Ⅱ度房室ブロックはP波の全部にはQRS波が連結せず、いくつかの割合でQRS波が脱落するものをいいます。

2度房室ブロックはMobitsⅠ型(Wenckebach型)房室ブロックとMobitzⅡ型房室ブロックに分類されます。

 

Wenckebach型房室ブロック

房室伝導の不完全な障害によって心房から心室への伝導時間が次第に延長し、ついには興奮伝導が途絶してQRS波が脱落します。

QRS波の脱落によってQRS波のないP波を認めますが、脱落後は房室伝導障害が回復するため次の心拍では始めのPQ間隔に戻っています。

画像引用:ナースプレス https://nursepress.jp/215693

 

MobitzⅡ型房室ブロック

房室伝導の不完全な障害によって心房から心室への興奮伝導が突然に途絶しQRS波が脱落する現象です。

QRS波が脱落しない時のPQ間隔は一定でその間隔は正常であることが多いです。

画像引用:ナースプレス https://nursepress.jp/215693

 

高度房室ブロック

心房から心室への刺激伝導が2:1以下(2つに1つのP波しか心室に伝導しない)場合は高度房室ブロックといい、第Ⅲ度房室ブロックよりも心拍数が低いことも少なくなく、より重篤な状態を示しています。

P波何拍に対してQRS波が出現するかを伝導比といい、下の場合は伝導比2:1になります。3つのP波に対しQRS波が1つしか出現しない場合は3:1伝導になります。

 

第Ⅲ度房室ブロック

房室伝導の障害によって心房から心室への興奮伝導が完全に途絶し、心房興奮が心室へ伝導されなくなった状態です。心電図上P波とQRS波は別個のリズムで出現します。

心室は伝導障害部位より下位のレベルで自動能が生じ、これによる房室接合部補充調律あるいは心室性補充調律で心室収縮を維持しています。

第Ⅲ度房室ブロックでは運動負荷しても心拍上昇は認められません。

画像引用:ナースプレス https://nursepress.jp/215693

第Ⅱ度、第Ⅲ度房室ブロックは急性心筋梗塞、特に下壁梗塞に合併することがあります。房室結節が主に右冠動脈から還流されているためと思われます。

運動負荷や運動療法中に第Ⅱ度、第Ⅲ度房室ブロックが出現した場合には直ちに運動を中止します。心筋虚血や元々存在した伝導障害の悪化が考えられます。

ペースメーカー植え込みの適応

房室ブロックの部位、程度、および症状を考慮して適応を決定するが、最も重要なのはブロック伴う徐脈に起因する症状の有無である。したがって症状のない第1度房室ブロックは適応とならない。高度または第3度房室ブロックでは投与不可欠の薬剤によるものや手術、アブレーション後で不可逆的なもの、あるいは著明な徐脈や長時間の心停止を認めるものは、ブロックの部位にかかわらず適応ありと考えられる。この際徐脈や心停止の程度として具体的な数値を挙げるのは困難であるが、心室拍数<40/分、心室停止>3秒を参考値として示す。

(循環器病の診断と治療に関するガイドライン 不整脈の非薬物治療ガイドライン より引用)

ガイドラインによる適応

Class Ⅰ

1、徐脈による明らかな臨床症状を有する第2度、高度または第3度房室ブロック

2、高度または第3度房室ブロックで以下のいずれかを伴う場合

(1)投与不可欠な薬剤によるもの

(2)改善の予測が不可能な術後房室ブロック

(3)房室接合部のカテーテルアブレーション後

(4)進行性の神経筋疾患に伴う房室ブロック

(5)覚醒時に著明な徐脈や長時間の心室停止を示すもの

Class Ⅱa

1、症状のない持続性の第3度房室ブロック

2、症状のない第2度または高度房室ブロックで、以下のいずれかを伴う場合

(1)ブロック部位がHis束内またはHis束下のもの

(2)徐脈による進行性の心拡大を伴うもの

(3)運動または硫酸アトロピン負荷で伝導が不変もしくは悪化するもの

3、徐脈によると思われる症状があり、他に原因のない第1度房室ブロックで、ブロック部位がHis束内またはHis束下のもの。

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