心筋梗塞の合併症

急性心筋梗塞の急性期には急に心筋が壊死してしまうことによる合併症が起こります。

この中には直接死につながる恐ろしいものも含まれています。

そのため、心筋梗塞後の治療がうまくいった後でも、これら合併症に注意をしながら徐々に動く範囲を拡大していくというリハビリが必要になります。

心筋梗塞の合併症
心不全

心筋梗塞になった部位の心筋の収縮が低下して、心臓のポンプ機能が弱くなり、全身に必要なだけの血液を送り出すことができなくなる結果、心不全が起こります。

心不全の症状は息切れや呼吸困難、浮腫、疲労感、四肢の冷感、食欲不振などです。

 

心原性ショック

心臓の機能が低下することによって、全身の血液循環がうまくいかなくなり、内臓や細胞に必要な血液が送り出せなくなった結果起こる危機的状態のことを心原性ショックといいます。

全身の様々な臓器で酸素と栄養が不足して、心臓以外の臓器も正常に働かなくなります。

血圧の低下:収縮期血圧90mmHg未満もしくは通常より30mmHg以上の血圧低下

尿量の低下:乏尿(20ml/h未満)

意識障害

四肢冷感や冷や汗(末梢血管収縮)

以上の全てを満たしている場合心原性ショックと診断されます。

心原性ショックの症状には、上記の冷や汗、四肢冷感、意識障害(興奮、傾眠、錯乱、昏睡)、低血圧、尿量低下に加え、左心不全に伴う症状(呼吸困難、咳嗽、血痰、経静脈怒張、高度頻脈または徐脈)などがあります。

右室梗塞

下壁、後壁梗塞の時(右冠動脈の閉塞の時)に右室梗塞を生じることがあります。

右心室が梗塞を起こしてしまうと右心室の収縮力が低下してしまいます。右心室は全身から戻ってきた血液を肺へ送り出す働きがありますので、それができなくなる結果、肺への血流が減少し、その先にある左心房、左心室への血流も減少します。

左心室から全身に送り出す血液が減りますので、血圧低下や尿量低下といった症状が起こります。

右心室から血液が送り出せず、右心房にも血液が溜まり、やがて全身のうっ血を起こします。その結果、経静脈の怒張や浮腫の増加、肝うっ血などの右心不全症状が出現します。これが右室梗塞の状態です。

心室中隔穿孔

心室中隔穿孔は心筋梗塞により心室中隔という心臓の壁を栄養する血管が閉塞することで、心室中隔という壁に穴があいてしまう合併症です。

右心室と左心室の間に孔ができますので、この孔を通って血液が右心室へ流れます。その結果右心室から肺へ行く血流が多くなります。

どの程度の穴が開いているかによってショック状態になるものから、軽い呼吸困難まであります。

基本は手術による治療が必要となります。

乳頭筋断裂

心筋梗塞により左心室の僧帽弁を支えている乳頭筋が断裂し、僧帽弁閉鎖不全を起こし血液の逆流が起こります。

乳頭筋が切れてしまうと、弁が閉じる時に僧帽弁を支えることができず、弁の閉鎖に伴う逆流防止の機能が破綻してしまいます。

僧帽弁逆流により左心房には左心室からの血液と肺からの血液が溜まり、肺水腫を引き起こします。

弁の逆流の程度によってはショックで救命できないものから、弁置換手術で救命できるものまであります。

心破裂

心筋梗塞により心室壁が壊死を起こし、心室の壁の一部が避けて出血することを言います。避ける程度によってじわじわと出血するタイプから、大出血するものまであります。

心筋梗塞発症後24時間以内に発症するものが多く、ほとんどが1週間以内に発症します。

突然発生するblow-out型の心破裂では、瞬時にして心タンポナーゼになるので救命することは難しくなります。

徐々に出血するoozing型では、心電図上ST上昇の遷延または再上昇などが認められ、心エコーで心嚢液の増大があれば心破裂を疑います。

不整脈

急性心筋梗塞にみられる不整脈

1、頻拍型と期外収縮

  上室性期外収縮

  心室性期外収縮

  上室性頻拍

  心房細動

  心房粗動

  心室頻拍

  心室細動

2、徐拍型

  洞性徐拍

  洞停止、洞房ブロック

  房室ブロック

  心室停止

心室性期外収縮はかなりの頻度で認められる。心室性期外収縮で特に注意しなければならないものを以下に記載します。

1)多発性:1分間5拍以上

2)多源性:2つ以上の起源がある(2つ以上の異なった型がある)

3)RonT:前の心拍のT波の上に期外収縮がのる

4)short run:期外収縮が3拍以上続くもの

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です