心房細動(Af)

心房細動とは

心房細動:Atrial fibrillation(Af)

心房細動とは心房の中で電気の流れが乱れている状態で、心房がブルブル震えてしまっている状態です。

心房の異所性興奮によって心房のさまざまな部位から無秩序に350/分以上の高頻度で電気的興奮が生じます。

心房細動では心房筋が不規則に震えているだけで、心房はきちんとした収縮が行えていません。

心房細動では必ず頻脈になるのか

心房細動になると必ず心臓全体も速く動いてしまうでしょうか?

答えはNOです。

心房の電気的興奮は心室に伝わりますが、房室結節が変電所の役割をしてくれているため、そこで伝わる電気の量を調節しています。(適当にブロックしながら心室に伝えます)

心房が毎分300回/分動いても、心房の電気が5つに1つくらいの割合で伝わると、心室は60回/分くらいで動きます。この場合だと通常の心室の動きと変わりありませんので、頻脈による動悸の症状は出にくくなります。

しかし伝わる頻度が多くなり、2つに1つや、3つに1つの割合で伝わると心室は1分間に100回から150回くらいで動くことになりますので、動悸や息苦しさといった症状が起こってきたり、血圧が下がったりしてしまいます。

心房細動の症状が出るかどうかは房室結節の調節にかかっています。

心房細動の分類

初発心房細動:心電図上初めて心房細動が確認されたもの。心房細動の持続時間を問わない。

発作性心房細動:発症後7日以内に洞調律に復したもの。

持続性心房細動:発症後7日を超えて心房細動が持続しているもの。

長期持続性心房細動:持続性心房細動のうち発症後1年以上心房細動が持続しているもの。

永続性心房細動:電気的あるいは薬理学的に除細動不能のもの。

心房細動になりやすい人

心房細動は心臓弁膜症、心筋症、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などの心臓病、高血圧、甲状腺機能亢進症、肺疾患などの上室性期外収縮をもたらす疾患でよく起こります。

また心房細動は加齢に伴ってなりやすい傾向があり、70歳以上では10%以上の人に基礎疾患に関係なく発作性あるいは持続性、慢性の心房細動が認められます。

他にもメタボリックシンドロームや慢性腎臓病なども心房細動を起こしやすくする要因とされています。飲酒や喫煙も関係すると言われています。

心房細動の心電図の特徴

P波の欠如

不規則な基線の動揺

 心房から無秩序にたくさんの電気信号が出るため基線が直線にならず、ユラユラと波のようになる。これをf(fibrillation)波といいます。V1誘導が心房に近いため見やすいという特徴があります。

RR間隔が不規則

 心房の電気信号は無秩序に発生し、さまざまなタイミングで心室に伝わりますので、QRS波は一定間隔では現れません。そのためRR間隔が不規則になります。

心房細動では何が問題か

①心不全

房室結節の調節機能がうまくいっていない場合、たくさんの電気刺激が心室に伝わりますので、頻脈になります。

元々の心臓病の有無にもよりますが、およそ1分間140回/分以上の頻脈が長く続くと、心臓の収縮機能が低下し心不全を起こす可能性があります。

ポンプ機能のうち、心房はその20%を担っているといわれています。補助ポンプとはいえ、その機能が失われるので循環機能は弱まります。心室筋の収縮力の低下や弁膜症による循環機能低下がある場合は頻脈+補助ポンプ機能低下により心不全をきたす場合があります。

②血栓

心房細動では心房の中に血栓ができやすく、それが血流にのって脳にとんでしまうと脳塞栓をおこしてしまいます。

心房が震えるように動くことで、心房の中の血がよどんで血栓ができやすくなるためです。

脳梗塞の15%が心房細動による血栓が原因と言われています。

そのため心房細動では塞栓症の予防のため血栓をできにくくする抗凝固薬(ワーファリンなど)を飲む必要があります。

心房細動の抗凝固療法

心房細動治療方針の決定では、初めに抗凝固療法の適応の有無を評価し、その後、状況に応じ洞調律維持あるいは心拍数調節を選択する。

抗血栓療法の適応と方法

<心房細動における脳梗塞発症のリスク評価と抗血栓療法>

クラスⅠ

・脳梗塞や出血のリスク評価に基づいた抗凝固療法の実施。(レベルA)

・CHADS2スコア2点以上の場合、適応があれば新規経口抗凝固薬の投与をまず考慮する。(レベルA)

・CHADS2スコア2点以上の高リスク患者へのダビガトラン(レベルB)、リバーロキサバン(レベルA)、アピキサバン(レベルA)、エドキサバン(レベルA)、ワルファリン(レベルA)のいずれかによる抗凝固療法。

・CHADS2スコア1点の中等度リスク患者へのダビガロラン(レベルB)かアピキサバン(レベルA)による抗凝固療法。

・ワルファリン療法時のPT-INRを2.0〜3.0での管理。(レベルA)

・70歳以上、非弁膜症性心房細動患者へのワルファリン療法時のPT-INR1.6〜2.6での管理。(レベルB)

・腎機能中等度低下例への新規経口抗凝固薬の用量調節。(レベルA)

・ワルファリン療法中の定期的なPT-INRモニタリング。(レベルA)

「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」より引用

心房細動の心拍数調節

心房細動中に130拍/min以上の心拍数が持続すると左室拡張不全が生じうっ血性心不全を惹起する

器質的心疾患がなくても高頻度の心拍数の心房細動が持続すると心不全となる。

これを予防するために心房細動中の心拍数を130拍/min以上にしないことが重要である。

RACEⅡTrialでは安静時心拍数を110拍/min未満に目指す群と、安静時心拍数は80拍/min未満で中等度運動時心拍数が110拍/min未満を目指す群に分けて比較された。その結果、自覚症状や有害事象の発現率、心不全の重症度は両群で同程度であり、安静時の心拍数が110拍/min未満を目指す緩やかなコントロールでもようことが明らかとなった。

2011年の米国心臓病学会/米国心臓協会/欧州心臓病学会のガイドラインでは推奨度の記載なしで、安静時60〜80拍/min、中等度運動時90〜115拍/minを目標としている。

「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」より引用

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