僧帽弁狭窄症

僧帽弁狭窄症(mitral stenosis:MS)とは

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僧帽弁狭窄症(MS)は、心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁がなんらかの原因によって狭小化した状態をいいます。

原因・病態

幼少時に感染したリウマチ熱などが原因となり、徐々に弁やその周囲の組織が変性することで弁の開放が制限されてきます。

正常な弁の面積(弁口面積)は4〜6cm2ですが、これが1.5〜2.0cm2以下になると症状が出現します。

弁の狭窄によって左心房から左心室へいけなくなった血液は左心房へたまるため、左房圧が上昇します。すると、左心房の上流にある肺静脈、肺に血液が溢れ、肺水腫を引き起こします。

さらに肺動脈圧が上昇して右心室に負荷がかかり、しばしば三尖弁閉鎖不全を合併します。

左房は圧上昇に対して拡大することで代償しますが、限界をこえると左房筋は正常の収縮ができなくなり心房細動を引きおこしたり、左房内に血液がよどんだりするようになり血栓ができやすくなります。

症状

最もよくみられる初発症状は労作時呼吸困難です。

動悸、心拍出量低下に伴う易疲労感・呼吸困難、起座呼吸や悪化すると喀血、チアノーゼが出現します。

右心不全を伴うと頸静脈の怒張、下腿浮腫、腹水貯留を認めます。

約20%の患者に心房細動による血栓、塞栓で脳梗塞、心筋梗塞、腸間膜動脈閉塞がみられます。

検査所見
胸部レントゲン

・左房負荷による左第3弓の突出

胸部レントゲンでは心臓の陰影は右を2弓、左4弓に分けられる。

右1弓:上大静脈、右2弓:右房

左1弓:大動脈弓、左2弓:肺動脈左3弓:左房、左4弓:左室

を表している

気管分岐角の拡大(拡大した左房によって左主気管支が挙上された所見)

・二重陰影:double density(右心房を示す右第2弓のなかに拡大した左心房の陰影をみる。)

・心不全を併発すると胸水貯留や肺静脈圧上昇を示唆するkerley’s B lineがみられる。(肥厚した肺静脈が線状にみえるもの)

ナースフルHPよりhttps://nurseful.jp/nursefulshikkanbetsu/cardiology/section_1_11_01/

聴診

亢進したⅠ音、僧帽弁開放音、拡張期ランブルからなる特徴的な心音を聴取する。

Ⅰ音:僧帽弁、三尖弁の閉鎖音。Ⅱ音:大動脈弁、肺動脈弁の閉鎖音。正常心音ではⅠ音とⅡ音が聴取されます。Ⅲ音やⅣ音は正常では聴こえない過剰心音です。

亢進したⅠ音は心室の収縮力が亢進している状態や僧帽弁狭窄症での房室弁の狭窄が原因でみられます。

僧帽弁狭窄症では弁の肥厚、硬化がおこり弁のたてつけが悪くなっているため、弁が閉じるときだけでなく、開く時にも音がしてしまいます。僧帽弁が開くタイミングの拡張早期に聞かれる音を僧帽弁開放音といいます。

ランブルは雷やお腹がゴロゴロとなるという意味で、狭窄した弁口を通る際に血液の乱流がおきてゴロゴロといった低張の雑音を生じます。

心エコー

・弁口面積の狭小化、左房拡大

・もやもやエコーや左房内血栓を認めることがあります。

心電図

左房負荷、心房性期外収縮、心房細動、右軸偏位などを認めます。

重症度

(日本循環器学会:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)より引用)

外科的治療

僧帽弁狭窄症の手術適応についてACC/AHA2014年度版ガイドラインより記載します。

クラスⅠ(手術すべき)

・PTMC(経皮的僧帽弁交連裂開術※)不能な有症状(NYHAⅢ〜Ⅳ)の重症MS(MVA≦1.5cm2)に対する僧帽弁手術

・有症状の重症MS(MVA≦1.5cm2)に対するPTMC

クラスⅡa(手術が妥当)

・他の心臓手術に合併した有症状(NYHAⅢ〜Ⅳ)の重症MSに対する僧帽弁手術

・無症状の超重症MS(MVA≦1.0cm2)に対するPTMC

クラスⅡb

・他の心臓手術に合併した中等度MS(1.6≦MVA≦2.0cm2)に対する僧帽弁手術

・塞栓症状を伴った重症MSに対する僧帽弁手術+左心耳閉鎖

・心房細動を伴った無症状の重症MSに対するPTMC

・有症状で運動負荷で重症MSとなる症例に対するPTMC

※PTMC:カテーテルを用いて足の動脈から直接心臓に到達し、硬くなった弁にバルーンを運び、そこでバルーンを広げて硬くなった僧帽弁を広げる治療。心房内血栓、高度の僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄や閉鎖不全を伴う場合や、冠動脈病変を合併する場合、僧帽弁や交連部の石灰化が高度な場合は不適当。

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