貧血
貧血とは
血液の酸素運搬能が低下した状態を貧血といいます。
酸素は生命を維持するためになくてはならないものであり、血液の働きで最も重要な仕事は酸素を全身に運搬することです。
この働きを司るのは血液中の赤血球にあるヘモグロビンです。
血液が酸素を運搬する能力はヘモグロビン量とほぼ比例します。
貧血とは赤血球あるいはヘモグロビンの量が正常より少なくなった状態で、その原因によって多くの種類に分けられます。
貧血の種類
貧血の検査
貧血の有無を調べるために赤血球系の検査を行います。
・赤血球数(RBC)
赤血球は酸素を全身に送り届け、細胞で不要になった二酸化炭素を受け取って肺まで運んでいます。
多い場合は多血症や脱水による血液濃縮など、少ない場合は貧血や出血が考えられます。
基準値 成人男子:410〜530万/μL
成人女子:380〜480万/μL
・ヘモグロビン濃度(Hb)
ヘモグロビンは赤血球の中にある赤い色素で、酸素と結合してその酸素を全身に運ぶ働きがあります。赤血球を車に例えると、ヘモグロビンは座席になります。座席がないと酸素をのせることはできません。
赤血球の数が減ると、その中にあるヘモグロビンも当然少なくなりますが、一般に赤血球の減り方よりヘモグロビンの減る割合が大きいのが普通です。
基準値 成人男子:14.0〜18.0g/dL
成人女子:12.0〜16.0g/dL
・ヘマトクリット値(Ht)
血液中の赤血球が占める割合を示すものです。赤血球が減るとヘマトクリット値も当然減りますが、一つ一つの赤血球の形が小さいと赤血球の減り方よりヘマトクリット値の減る割合が大きく、赤血球が大きいとその割合は小さくなります。
基準値 成人男子:40〜48%
成人女子:36〜42%
(臨床検査のガイドライン JSLM2012 より)
赤血球恒数
MCV、MCH、MCHCの3つを赤血球恒数といい、いろいろな種類のある貧血のおおよその分類をするための指標になります。
MCV(平均赤血球容積):赤血球1個あたりの容積の平均値を表します。基準値より高値の場合は大球性、低値の場合は小球性、基準値内は正球性になります。
基準値85〜99fl
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量):赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビン量の平均値を表します。
基準値27.0〜34.0pg
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度):赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの濃度を表します。基準値より低値であれば低色素性、基準値内であれば正色素性になります。
基準値31.0〜36.0%
<赤血球恒数による貧血の分類>
(日本臨床検査医学会 https://www.jslm.org/books/guideline/36.pdfより引用)
貧血へのアプローチ
①汎血球減少をチェック
・白血球、血小板の減少あり→骨髄での産生低下の疑い。
・白血球、血小板の減少なし→MCVをチェック
②MCVをチェック
・MCV<80fL→小球性貧血へのアプローチ
・MCV80〜100fL→正球性貧血へのアプローチ
・MCV>100fL→大球性貧血へのアプローチ
小球性貧血
小球性貧血の鑑別診断:鉄欠乏性貧血、二次性貧血(慢性感染症、炎症性疾患、悪性腫瘍などに伴う貧血、肝疾患、甲状腺機能低下症に伴う貧血、腎性貧血)、サラセミア、鉄芽球性貧血
正球性貧血
正球性貧血の鑑別診断:急性出血、溶血性貧血、骨髄低形成、二次性貧血、骨髄浸潤疾患、骨髄異型性症候群 ※二次性貧血は小球性貧血にもなりうる。
大球性貧血
大球性貧血の鑑別診断:巨赤芽球性貧血(ビタミンB 12欠乏、葉酸欠乏、代謝拮抗薬)、アルコール性、肝疾患、甲状腺機能低下症、網赤血球の増加(急性出血、溶血性貧血の回復期)、骨髄異形成症候群
症状
貧血は体内の酸素が不足した状態です。
そのため動悸・息切れ・倦怠感(特にやや長い距離の歩行や階段を上るときに自覚)顔色不良・顔面蒼白、めまいや起立性低血圧、頭痛、疲れがとれにくいなどの症状が表れます。
さらに進行すると爪の中央がへこんでスプーンのようになったり、失神するなどの症状が起きることもあります。
他にも足のしびれや知覚麻痺、食欲不振、下痢なども起こり得ます。
貧血がありそうな時は爪もチェック
CRT:capillary refilling time 爪を5秒間圧迫して、解除した後に再び赤みを帯びるまでの時間のこと。末梢循環を評価するための指標であり、2秒以上かかるようであれば異常であり、循環不全が示唆されます。