血圧調節のメカニズム

血圧調節には多くの因子が関与していますが、そのなかでも自律神経系を中心とした神経性調節と、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を中心とした液性調節の影響を強く受けて一定に調節されています。

また、血圧は血圧上昇からの経過時間によって以下のような方法で調節されています。

①短時間で終わる急速血圧調節:数秒〜数分単位で起こる調節機構。圧受容器反射化学受容器反射交感神経活性化などによる神経性調節が主に関与する。

中間型血圧調節:数分〜数時間単位で起こる調節機構:レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化やパソプレッシン系が関与する。

長時間にわたる血圧調節:数時間〜数日単位で起こる調節機構。おもにレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が関与する。

圧受容器反射と血圧調節

何らかの理由で心拍出量が低下して血圧が低下すると大動脈弓や頸動脈洞の圧受容器がこれを感知します。その情報は舌咽神経および迷走神経を経て延髄の血管運動中枢に伝わります。すると血管運動中枢は交感神経を使って、心収縮力を高め、心拍数をあげます。同時に末梢の細い血管を収縮させ脳や心臓など生命維持に必要な部分に集中的に血液が流れるように調節します。血圧が上昇した時は交感神経の緊張低下と迷走神経の興奮をもたらし、血圧を下げる方向に働きます。

参考)看護roo 「血圧・血糖値・pHの調節|生体を維持する恒常性のはたらき(2) より

心肺圧受容器反射と血圧調節

心房、心室、肺静脈にある低圧系の圧受容器で、有効循環血液量の変化を感知しています。有効循環血液量が減少して心房圧、心室拡張終期圧が低下するとバソプレシンの分泌を増大して排尿を制限したり、レニン・アンジオテンシン系を賦活化させたりします。

血液量が増えると心肺圧受容器の機能が亢進し、バソプレシン分泌が抑制されそれにより尿量が増え血液量を減らそうとします。

化学受容器反射と血圧調節

化学受容器は頸動脈洞部および大動脈弓部に存在し、血中酸素分圧、二酸化炭素分圧、pHに反応します。酸素分圧の低下、pHの低下、炭酸ガス分圧の上昇を感受して交感神経を緊張させます。

頸動脈洞のすぐ近くにある経動脈小体と大動脈弓壁にある大動脈小体には血液の化学組成を感知する化学受容器があります。化学受容器は血液中のCO2濃度が増加するとそれを感知して心臓中枢にその情報を送り、反射的に心拍数を増加させることによりCO2を排出させるように働きます。

交感神経と血圧調節

交感神経は心臓では収縮性や内圧上昇速度の上昇と心拍数を増大させて心拍出量を増加させます。末梢血管ではノルアドレナリンを放出し血管収縮を起こします。対象となる血管は動脈と細動脈、静脈です。細動脈は抵抗血管とよばれており抵抗血管の収縮は上流の血圧を上昇させます。静脈は血液の保持量が大きいため容量血管ともよばれています。安静時には循環系における血液の約70%が毛細血管から静脈に分布していますが、静脈を収縮させることで血液を容量血管から動脈系に移動して有効循環血液量を増大させて心拍出量を上昇させることができます。

副交感神経はアセチルコリンを放出して心拍数の減少と心収縮力を低下させています。

体液性調節

体液性調節は血液量の増減によって血圧を調節する機構です。

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系

レニンは血圧の低下、血中ナトリウム量の減少、交感神経の緊張などによって、腎臓から血中に放出されます。レニンは血中のアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンIに変換し、アンジオテンシンIはアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンⅡに変換されます。アンジオテンシンⅡは血管を収縮させ、さらに副腎皮質ホルモンのひとつであるアルドステロンの分泌を促して血圧を上げます。アルドステロンは腎臓の遠位尿細管・集合管に作用してNa、水を再吸収させて体液量を増やす方向に働きます。

バソプレッシン(抗利尿ホルモン)

下垂体後葉ホルモンのひとつで、血漿浸透圧が上がる(血液が濃縮する)と腎臓の遠位尿細管・集合管に作用して水の再吸収を行い、体液量を増やして浸透圧をあげます。また血管収縮作用により血圧を上昇させます。

心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)

心房で産生される血管拡張作用とナトリウム利尿作用をもつホルモンです。レニン-アンジオテンシン系に対する拮抗作用、Na利尿、水利尿を促進する作用、副腎アルドステロン生成を抑制する作用があります。また、血管拡張作用もあります。

血圧調節にかかわるホルモンを以下に示します。

姿勢変化による血圧調節

姿勢変化のときには圧受容体反射などの作用により血圧が調整されます。

(西川淳一著 理学療法における「血圧・心拍数」の理解のポイント より引用)

これらの反応は姿勢変化から1分以内に起こるとされていますが、長期臥床の患者、β遮断薬内服患者、自律神経障害を有する高齢者や糖尿病患者などは圧受容体反射の働きが障害されているため、反応が遅延して起立性症状を来たしやすいとされています。

起立性症状をきたしやすい患者は臥位から座位に移行した際に下腿の皮膚が瞬時に紅潮するため、姿勢変化の際に下肢の色調変化を観察しておくとよいでしょう。

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