BNP、NT-proBNP

BNPやNT-proBNPは主として心室にて壁応力(伸展ストレス)に応じて、速やかに生成、分泌されます。

壁応力が増大する心不全では、その重症度に応じて血中濃度が上昇します。

BNP、NT-proBNPとも心室のみならず心房からも10%ほど分泌されます。そのため心房細動などでも軽度上昇します。

他にも腎機能の低下に合わせてBNP、NT-proBNPの血中濃度が上昇します。特にN
T-proBNPはその代謝の殆どが腎臓からの濾過による排泄に依存しているために軽度の腎機能低下でも影響をうけ、eGFR30ml/min/1.73m2未満の症例では増加の程度が大きくなります。また高齢者でも一般にBNP、NT-proBNPとも血中濃度が上昇します。さらに急性膵炎でも高い値を示すことがあります。

数値の解釈にはこれらの因子に配慮することが必要です。

BNP、NT-proBNPの心不全診断へのカットオフ値

(日本心不全学会HPより画像引用)

BNPの正常値は18.4pg/mlとされています。この値より低い場合には潜在的な心不全の可能性は極めて低いと判断されます。

血中BNPが18.4〜40pg/mlの場合:心不全の危険因子を有している症例でも直ちに治療が必要となる心不全の可能性は低いと判断されます。ただしBNPだけでは心不全の程度を過小評価してしまう場合(収縮性心膜炎、僧帽弁狭窄症、発作的に生じる不整脈、一部の虚血性心疾患、高度肥満などを伴う心不全)もあるので、症状や症候を十分に加味して判断します。

血中BNPが40〜100pg/mlの場合:軽度の心不全の可能性があります。この範囲では重症心不全である可能性は低く、BNP上昇の原因がある程度特定できればそのまま経過観察することも可能とされます。

血中BNPが100〜200pg/mlの場合:治療対象となる心不全である可能性があります。

血中BNPが200pg/ml以上の場合:治療対象となる心不全である可能性が高いと思われます。原因検索に引き続き症状を伴う場合は心不全治療の開始となります。

BNP値に相当するNT-proBNP値については現段階ではコンセンサスが得られていません。日本心不全学会の提案では、BNP40pg/mlに対してはNT-proBNP125pg/ml、BNP200pg/mlに対してはNT-proBNP900pg/mlとされています。

心大血管リハビリテーションの対象疾患である慢性心不全では

BNPが80pg/ml以上、NT-proBNPが400pg/ml以上の状態の患者さんがリハビリの対象として決められています。

BNP、NT-proBNP” に対して 2 件のコメントがあります

  1. サクライユカリ より:

    運動誘発性のHFpEFの場合、BNP が正常のことがあるという事実について、どうか啓蒙してください。

    1. にこP より:

      サクライ様 ご指摘ありがとうございます。知識不足にて、運動誘発性のHFpEFという病態があることを把握しておりませんでした。少し調べてわかり次第追記させて頂こうと思います。今後ともよろしくお願い致します。

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