凝固系

血が止まる仕組み

一次止血(外傷などにより血管が破れて出血がおこると血小板が集まってきて、血小板同士が凝集して血小板血栓が形成されます。ここまでの機構を一次止血といいます。)を補強するように、凝固系が作用してフィブリンを形成するまでを二次止血といいます。

二次止血には内因系凝固と外因系凝固があります。

内因系凝固と外因系凝固

二次止血の内因系は血管内の凝固因子で起こる凝固を指し、外因系というのは破壊された組織からの成分から始める凝固を意味しています。

プロトロンビン時間(PT)は外因系凝固因子の機能を反映し、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系凝固因子の機能を反映しています。この2つを組み合わせることで、どの凝固因子に異常があるかを推測することができます。

血液は血漿中に不活性で存在する凝固因子の活性化反応に伴い、最終的にプロトロンビンがトロンビンに活性化されることで、血漿中に大量に存在するフィブリノゲンがフィブリンとなり凝固します。

このトロンビン生成の過程には2つの経路があり、PTは外部から活性化物質が血漿に混入することにより生じる外因系を、APTTは血液が異物面に触れることにより血漿中の因子だけでトロンビンが生じる内因系を反映しています。

PT、APTTは止血機能スクリーニングの代表的な検査で、血小板数、フィブリノゲン量、フィブリン分解産物(Dダイマー)と合わせて、これから外科的侵襲を加えようとする患者に対し出血傾向の有無を調べる目的や出血傾向のある患者に対して行う検査です。

また出血傾向だけでなく血栓傾向の検査としても用いられることが多くなっています。PTはワルファリン療法の、APTTはヘパリン療法の効果判定と経過観察に用いられています。

内因系凝固:血管内に存在する因子によっておこる凝固反応。

外因系凝固:血管外に存在する組織トロンボプラスチンに由来する凝固反応。

血液凝固因子

血液凝固因子は二次止血で血栓を強くするためのフィブリンを作る物質です。凝固因子には主に第Ⅰ因子から第XIII因子(第Ⅵ因子は欠番)までの12個の因子がありますが、ひとつの因子だけでは血液を固めることはできません。フィブリンという出血したところを塞いで固める糊のような役割をするタンパクを作って血液を固めろという命令(バトン)を各因子がリレーの走者として順々に伝えていくことで血液凝固が完了します。

PT(プロトロンビン時間)

外因凝固系のスクリーニングに用いられます。

血漿にカルシウムイオンと組織トロンボプラスチンを加えてから、フィブリンが析出してくるまでの時間を測定するものです。

外因系(第Ⅶ因子)+共通系(第Ⅰ、Ⅱ、Ⅴ、Ⅹ因子)が働いて血液が凝固するまでの時間。第Ⅶ、Ⅹ、Ⅴ、Ⅱ、Ⅰ因子の活性低下でPTは延長します。

PT-INR(PT国際標準比)

PTの試薬による差異を標準化するため国際標準化された試薬を用いて指数化したPTの表記法。

検査している中身はPTと同じです。PTを測定してある換算式によりINRに換算します。

PT測定値は試薬の種類によるものや測定施設による違いが存在するため、その差を補正するためにPT-INRがあります。

PTが延長するほどPT-INR値は大きくなります。

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)

活性化トロンボプラスチン時間のことで内因凝固系のスクリーニングとして用いられます。

第Ⅻ因子やⅪ因子などを活性化する活性化剤を血漿に加えてフィブリンが析出するまでの時間を測定するものです。

内因系(第Ⅻ、Ⅺ、Ⅸ、Ⅷ因子)+共通系(第Ⅰ、Ⅱ、Ⅴ、Ⅹ因子)が働いて血液が凝固するまでの時間です。

凝固因子に異常が出る代表的な疾患
ワーファリン内服中

ワーファリンは血液の凝固能を落とす薬です。具体的にはビタミンKに拮抗することで、ビタミンK依存性凝固因子(第Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ、Ⅱ因子)の働きを阻害します。

ビタミンK欠乏状態に伴いⅦ、Ⅸ、Ⅹ、Ⅱの順番で凝固因子活性が低下します。(半減期が短い順番に活性が低下します)。Ⅶ因子が最も半減期が短かいので、最初に低下します。

第Ⅶ因子が低下すると、PTが延長します。さらにワーファリンが効いてくると、Ⅸ、Ⅹ、Ⅱ因子活性が順次低下していきますので、APTTも延長します。

なのでビタミンK欠乏症ではAPTTよりもPTのほうが先に延長します。

この薬を飲んでいる人はビタミンK豊富な納豆などを食べると効果が減少するため、食べるのを避けなくてはなりません。

肝疾患

凝固因子は肝臓でできるので、肝硬変や劇症肝炎などの肝疾患ではこれらが欠乏し凝固能が障害され、PTやAPTTが延長します。特に半減期の短い第Ⅶ因子を反映するPTは敏感に延長します。

ビタミンK欠乏

第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の産生にはビタミンKが必要なためビタミンK欠乏では凝固時間が延長します。

通常はPT延長、重度の欠乏ではAPTTも延長します。

DIC(播種性血管内凝固症候群)

基礎疾患に合併して凝固系が亢進し、全身の微小血管内に微小血栓が多発して臓器障害をおこす病態です。

DICは血液を固める凝固作用と固まった血液を溶かす作用(線溶)が同時に無秩序に起こるため、極めて治療の難しい病態の一つです。

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